機械式時計の複雑機構について

セレブのライフスタイル

①トゥールビヨンについて

トゥールビヨンは、重力の影響で機械式時計の動きに影響が及ばないようにする機構で、1801年にBREGUETが発明しました。

地球の重力は、時計にも影響を及ぼすわけですが、機械式時計の中身を観ていくと、それぞれの機械がいろいろな向きで重力の影響を受けていることがわかります。

すなわち、文字盤の角度は常に地面に垂直に固定されていれば、まずはその角度に対して完璧な調整を施しておけば良いわけですが、腕時計は装着されているときは、一定の姿勢を保てるわけではありません。

それでは、どのように重力の影響を抑えるのか、あるいは分散させるのか?ということですが、これを脱進、調速を行うガンギ車とテンプを「キャリッジ」というカゴにパッケージし、このキャリッジを一定の速度で回転させることで実現しようというのが、トゥールビヨンになります。

ちなみに、BREGUETがこの機構を発明した1801年には腕時計が存在せず、まずは懐中時計用に使用されたということです。

腕時計はその後、BREGUETによって1812年に開発されました。

機械式時計の魅力というのは、このような200年以上前の発明が現代に現役で活き続けているようなところにもあるのではないでしょうか。

②クロノグラフについて

クロノグラフとは、簡単に言えばストップウォッチのことですが、機械式腕時計でこの機構を動かすとなると様々な複雑な機能が必要になってきます。

文字盤上には、通常の時計機構以外に、インダイアルと呼ばれる小さな文字盤があり、これの数によって二つ目とか三つ目とか言う呼ばれ方をします。

通常のインダイアルでは、12時間積算計、30分間積算計に秒針が周回するものの三つがあります。

またケースの外周上には、リュウズの上下にクロノグラフボタンがあり、それらのボタンを操作することでインダイアル上の時間計測が行われる仕組みになっています。

クロノグラフ型の時計はこのように、インダイアル、クロノグラフボタンの存在や時計自体の厚みや重厚感により独特の雰囲気を持っており、計器としての存在感を濃厚に主張するモノになっています。

③永久カレンダーについて

永久カレンダーとは、グレゴリウス暦に準拠したカレンダーを備えた機械式時計の機構のことですが、本当の意味での「永久」とは若干相違しています。

まずグレゴリウス暦ですが、これはユリウス暦を改良した暦のことで1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が制定しました。

ユリウス暦では、4年に一回のうるう年を設けて、誤差を修正していましたが、これだと一年に11分の遅れを作り出しており、1582年段階では10日間の誤差になっていました。これを修正するためにグレゴリウス13世は、1582年の10月4日の翌日を一気に10月15日とし、その後の暦の運行を原則的に下三桁が4で割り切れる数字の場合にうるう年とした上で、これに例外を設け下二桁が00になる年は平年としました。

さらに例外中の例外を設けて下二桁が00であっても百の桁が4で割り切れる数字の場合はうるう年にするという細かい設定を行い、誤差を最小限にしようとしました。

こうしてグレゴリウス暦では、400年間に3回規則的にうるう年が来ないケースが出てきます。

それでは、機械式腕時計に組み込まれた永久カレンダーはどうなっているのかということですが、現在の設定では2100年3月1日の月曜日までの永久カレンダーになっており、この年に多くの時計師によって誤差調整作業が発生するつくりになっています。

④リピーターについて

リピーターとは、文字盤を観えないような環境にある時に音によって時刻を知らせる機構であり、現代のような夜間の照明が明るくない時代においては必要不可欠な装置でした。

リピーターという名前の由来ですが、これは既に指針が表示した時刻を再度音で知らせる機構なのでリピーター=二度打ち時計、復打ち時計と呼ばれています。

このようなリピーターには幾つか種類がありますが、最も代表的なものは「ミニッツリピーター=分打ち二度打ち時計」になるでしょう。

これは「時単位」「十五分単位」「分単位」の三種類の音で直前の時刻を知らせる機構になります。

たとえば4時25分であれば「時単位」を表す音が4回、「十五分」単位を表す音が1回、「分単位」を表す音が10回鳴ることで時刻を知らせます。

こうしたリピーターの音は、非常に小さいので今日の雑踏の中では聴き取ることが困難とも言えますが、夜間の照明が十分でなかった時代においては静寂の中で聴き取ることも容易であったのでしょう。

音はプラチナだとやや固く、銅を含んだ金属だと比較的やわらかい感じの聞こえ方をします。

基本的にリピーター機構を備えた時計は非常に高価であり、1000万円程度の商品もたくさん取り扱われています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました